解説編-2.自分の目標を「リアル」にするためには

 言葉には、力があるといわれています。さらに、「言霊」といも言われ、発した言葉には魂さえ宿ると思われているのです。まさに、言葉とは、人が自分の意思を表現するための最も高度で、最も適切な手段の一つなのです。

 このことは、言葉が使い方しだいで良い方向にも、悪い方向にも変えうるということを暗示しています。以前、「忘れえぬあの一言」という新聞記事がありました。著名人が、誰かから言われた一言が、人生を変えるほどの役割さえしたという内容のものです。この場合、言葉はその人の心に訴え、それによって励まされ、勇気付けられ、著名人といわれるほどにまで支え続けたということになります。

 一方、これとは異なる動きをしてしまう場合もあります。あなたも、これまでに、何気なくした自分の発言が思わぬ解釈をされ、いわゆる「悪くとられた」という経験をしたことがありませんか?

 「こんなはずじゃなかったのに。」とか、「勘違いされた。」と思うことは誰にでも思い当たることでしょう。中には「言わなければ良かった。」とさえ感じてしまったこともあるかもしれません。そんなときには、「こんなことなら、これからは、黙っていよう。」と後悔の念に駆られたことでしょう。

 このように、言葉は他の人に対してよい影響を与えたり、悪い影響を与えたりすると同時に、自分自身にも良いこと・悪いことの影響が降りかかってくるものです。

 さて、よく、「自分に言い聞かせる」という表現が使われることがあります。なにか不安なことが身辺に存在するとき、「大丈夫・だいじょうぶ」と、心の中で繰り返したりすることです。この場合、私たちは、対人関係における意思の伝達手段として言葉を使っているのではなく、自分の意思や意識を明確にするために、無意識に言葉の力を利用しているということになるのです。

 最近では、スポーツ選手が独り言を言っている様子がテレビで映し出されることが増えました。技術力でトップに上り詰めたこれらの選手は、一進一退するわずかな技術力以上に、心の力が大きな差になることを発見したのでしょう。そして、自分自身に力を与える言葉を自ら与え続けているのです。

 このエクササイズは、具体的には将来の漠然とした目標をより現実的に今に置き換えるというための訓練です。そのために、この言葉の持つ力というものを、より具体的かつ意識的に使っていこうというものです。次の例をご覧ください。

  • お金持ちになりたいな〜。
  • お金持ちになるぞ。
  • 必ず、お金持ちになる。
  • お金持ちになりつつあるよ。
  • お金持ちだよ。

 いかがですか?誰かが言っているこれらの言葉を、貴方が聞いたとすると、一番強力に響いてくる言葉はどれでしょうか。少なくとも、「なりたいな〜。」という言葉より「なるぞ」と断定した方が強く印象に残ったことでしょう。ところで、最初から3つめまでの言葉を聞いたとき、貴方はその人のことをどのように感じるでしょうか。おそらく、「この人は、まだお金持ちではない」と判断することでしょう。では、「お金持ちになりつつあるよ。」といわれたとき、貴方はどのような感想を持ちますか?この言葉は、それを聴く人・見る人によって、いろいろと判断が分かれることでしょう。ある人は、「それでは、今どれくらいお金持ちになっているの?」と思うかもしれません。また、「まだ、完全なお金持ちというわけじゃないじゃない。」と思う人もいるかもしれません。

 さて、「必ずお金持ちになる。」と言った人と、「お金持ちになりつつあるよ。」と言った人の実際はどうなのでしょうか。仮に状況がまったく同じであったとしても、少なくとも何人かの人は、「お金持ちになりつつあるよ。」といった人のことをすこしはお金持ちなのだと思ったはずです。

 状況が同じであったとしても、言葉の使い方によって受け取る感情というものは明らかに変わってくるものなのです。これは、他人に対して影響があるだけではありません。先述したとおり、言葉が自分自身にも力を与えていることはすでに間違いのないことです。

 ならば、言葉の持つ不思議な力をよりよい方向で使っていこうというものがこのエクササイズです。その中でも、「今、すでになっている」という形で言葉を使うことが、実はもっとも言葉の力が強まるのです。そのため、エクササイズでは、最初に書いた目標を、「今、すでに〜である。」という形に置き換えていただきました。
  書き換えた文章を書いたとき、そして、改めて読み直したときどんな感覚を味わいましたか?突然、リアリティをもったイメージが沸き起こった人もいることでしょう。これは、とてもすばらしいことです。そのイメージを忘れずに、ことあるごとにそれを繰り返してください。きっと知らぬ間に貴方は変わっていく自分を見ることになるでしょう。
  一方で、「馬鹿らしい」と思ってしまった人もいるかもしれません。そのような場合のお勧めが、進行形なのです。本当はお金なんて持っていないのに、「今、私はお金持ちだ。」と言っても、空々しい気分にさいなまれてしまうのでしょう。ならば、「お金持ちになりつつある。」といえばいいのです。たとえ、どん底の貧乏だと思っても、そのときがどん底ならそれ以上の貧乏はありません。ならば、「お金持ちになりつつある。」のではないですか?

 このような能天気とも思えるようなエクササイズであっても、一流のスポーツ選手さえ使っている手法なのです。ぜひ、まねをしてみてはいかがですか?自分が心に思うだけです。そして、独り言を繰り返すだけです。損はありませんから。。。。訓練を繰り返してみてください。漠然とした目標はてきめんにリアリティを持った言葉として生き生きと躍動を始めるに違いありません。簡単ですよね?

 

この解説の設問編へ戻る

魂のエクササイズメインメニューへ戻る



Copyright:日本クリエーター協会